2025年8月9日開催:『第20回SDGs勉強会~まちづくり"を考える』のご報告

 

ご参加下さった皆さん、ありがとうございました。ご協力に感謝致します。

 

◆参加人数:9

 

◆ドネーション額:30,000(32回種を蒔く人のお話しを聴く会のドネーションと合わせて)

 

◆参加者のお声

・人とのコミュニケーションのとり方について考える時間では、事実と意見を分けて聴き取る、伝えることの大切さに気づきました。

コミュニケーションにおいて一人ひとりのあり方や工夫についても見つめることができました。ニュージーランドのコミュニティの育ち方が個人を尊重されたあり方で、一人ひとりの声が反映されやすい良いあり方だなあと感じました。

・町づくりを変えていくためには一朝一夕では進まない現実や、具体的に変革を進めるためのプロセスの重要性を学びました。誰に最初に働きかけ、その後どのような人や組織につなげていくのか、さらに話し合いのために必要な考え方や仕組みの不足といった課題にも気付かされました。

これらは町づくりに限らず、様々な現場でも共通して起きていることであり、物事が前に進まない根本的な理由を考える大きなきっかけとなりました。今回の学びを今後の活動にも活かしてまいります。

・一番印象に残っているのは事実と意見の違いです。事実と思っていたこともその人の判断が入っていると事実ではないこと。普段あまり意識できていなかったことでハッとしました。二人で行った地図を描くワークではパートナーの方がとても上手に指示を出してもらえて出された課題を達成することができました。答え合わせの際に見せてもらった地図は情報量が多く、全部伝えることはかえって目的を達成するのに障害になることに気づきましたし、改めてパートナーの方の指示がいかに的確であったことがわかり、伝え方の学びになりました。

 

 

 

 

 

 

 

ファシリテーター:岩﨑裕保

 

 

種を蒔く#630 202591

 

岩﨑 裕保からあなたへ

19回 「SDGs勉強会:まちづくりを考える」報告

 

 

初めのワークは、21組になって、教室のような形(前の人の背中を見る位置関係)で坐って、後ろの席の人がこの図の情報を伝えて、それを聞いて前の席の人が「かおるさんの家から小学校まで」の地図を描いていきます。

 

 

図を描く人は質問をしてはいけません、聞いたことを描いていくだけです。また情報発信者は後ろの席から前の人が描いているのを見てはいけません。出来上がったものを見て、2人で話し合いをします――かなり正確に描けたか、どう言ったらきちんと伝えられただろうか、なぜ間違ってしまったのだろうか・・・

右・左という表現だと立ち位置で反対になってしまうのでそれを避けるためには東西南北で伝えた方が間違いを避けやすい、図にあるすべての情報を伝えなくても目的地には着けそうだが道案内としては目印をできるだけ伝えてあげた方が親切だ、図の完成という観点からは記入用紙からはみ出してしまわないようにするためには目的地が用紙のどこにあるのかを先に伝えるのは賢明だ、といった声がありました。作図者が質問ができれば違う状況が生まれるでしょう。

「まちづくり」そのものとは直接関係はありませんが、伝達の在り方で理解度に違いが出ることに気づけたのではないでしょうか。

 

次に、参加者一人ひとりに「役割カード」を配布し、住民によるまちづくりのための話し合い(ロールプレイ)を行いました。「母親の介護をしている主婦(50歳・女性)」「商店街の美容院店長(32歳・男性)」「看護の専門学校生(21歳・女性)」「年金一人暮らし80歳・女性」「小学3年生(9歳・男性)」「在住外国人(20歳・女性)」「ホームレス(58歳・男性)」がそれぞれ「自己紹介」をし、「悩んでいること」や「気になっていること・人」のことなどを話し合っていきます。「改善したいまちの問題点」と「その問題から連想される問題」などに展開したかったのですが、やはり架空の設定ではうまくかみ合わないので、奈良の町の課題などを出し合ってみました。「観光(客)」「昔からの住民と比較的新しい住民(の関係)」「道路(の状態の悪さ)」などが指摘されました。行政にかかわってもらう場合、まず誰に接触するかそして何を伝えるか、次には誰に何をという風に進めざるを得ないことが予想できますが、市民同士の風通しのよい話し合いや関係がベースになります。

 

どういうまちにしたいかという意識によって方向が決まる例として、神戸市議会が1970年代半ばまでに神戸港を非核化(核を積んていないという証明を出させる)した事例――その記念石碑はJR元町駅近くにあり、全会一致の決議以降米艦船は神戸には寄港していない――や、ニュージーランドが国家として非核化を進めた第一歩は「我が家に核はありません、お宅は?」という風に個人宅から始まり、町レベルにそして国家レベルにまで非核を確認していったことなどを紹介しました。そして参加者の暮らすところは「非核都市宣言」あるいは「平和都市宣言」をしているかを尋ねしました。日本の総人口の90%ぐらいの人たちは「非核宣言」(など)をしたところに暮らしていること、しかしその非核というのは戦争関連の核についてだけであって原子力発電などの核については触れていないことも伝えしました。

 

また、文章表現は事実(fact)と意見(opinion)に分けられます。「N君は頭がいい」は意見です。「N君は数学のテストでいつも90点以上を取る」と言えば事実になります。「今日は天気がいい」は意見で、遠足に行く児童にはいい天気でも田植えを待つお百姓さんにはいい天気とは言えません。「今日は晴れている」とか「今日は雨だ」と表現をすれば事実になります。「事実に基づいた議論を」と言われて久しいが、事実と意見を区別できるような学習がまずは必要ではないでしょうか。

 

当初のテーマ通りに展開できず、脱線をしてしまったことをお詫びします。

 

プロフィール:blue earth green trees SDGs勉強会プロジェクトリーダー。同志社大学法学部政治学科卒業、同大学院アメリカ研究科修了。ニュージーランドが関心の地域。私立中高で英語を教え、その後大学に移って「平和研究」「国際協力論」「NGO/NPO論」などを担当。2008年から6年間開発教育協会(DEAR)代表理事。今はDEAR顧問と関西NGO協議会(KNC)監事。

 

種を蒔く:#619,606,588,575,569,547,537,522,494,385,383,360,354,349,342,319,310,303,292, 266, 259, 254, 237, 224, 197, 175, 143, 124, 121, 98, 79, 73, 69, 67, 48

【過去のご報告】

2025年6月21日開催:『第19回SDGs勉強会~万博を知る、万博を考える』のご報告

2024年12月21日開催:『第18回SDGs勉強会~エネルギー、どうする?デンマークにみる先行事例』のご報告

2024年4月13日開催:『第17回SDGs勉強会~参加について』のご報告

2023年10月21日開催:「第16回SDGs勉強会~難民について」のご報告

2023年4月15日開催:「第15回SDGs勉強会~貿易ゲームで世界の構造を考える」のご報告

2022年10月22日開催:「第14回SDGs勉強会~沖縄から考える平和」のご報告

2022年10月22日開催:「第13回SDGs勉強会~ファッション・服について考えてみよう」のご報告

2022年10月8日開催:「第12回SDGs勉強会~プラスチックとゴミとリサイクルについて考えてみよう」のご報告

2022年8月13日開催:「第11回SDGs勉強会~国際協力/援助について考えてみようⅡ」のご報告

2022年6月18日開催:「第10回SDGs勉強会~国際協力/援助について考えてみようⅠ」のご報告

2022年4月23日開催:『第9回SDGs勉強会~子どもの権利条約について考える』のご報告

2022年2月26日開催:『第8回SDGs勉強会~豊かな社会にとって大切なこと』のご報告

2021年12月11日開催:『第7回SDGs勉強会~~核(兵器)について』のご報告

2021年10月16日開催:『第6回SDGs勉強会~コンビニについて』のご報告

2021年8月28日開催:『第5回SDGs勉強会~フェアトレードⅡ』のご報告

2021年6月12日開催:第6回種を蒔く人のお話を聴く会/Listening to Seedfolks〜五ふしの草 榊原一憲さん) 』& 『第4回SDGs勉強会(フェアトレード)』のご報告

2021年2月13日開催『第4回種を蒔く人のお話を聴く会/Listening to Seedfolks〜登大路総合法律事務所 所長弁護士田中啓義さん』& 『第3回SDGs勉強会』ご報告

2020年12月26日開催:『第3回種を蒔く人のお話を聴く会/ Listening to Seedfolks 〜国連UNHCR協会芳島昭一さん』&『第2回SDGs勉強会』のご報告

2020年10月17日開催:『第1回種を蒔く人のお話を聴く会 & 第1回SDGs勉強会』のご報告