2023年4月15日開催:『第15回SDGs勉強会~貿易ゲームで世界の構造を考える』のご報告

ご参加くださった皆さま、ありがとうございます。

 

皆さまのご協力に感謝致します。

 

◆参加人数:14

 

◆ドネーション:25,000円(第20回種を蒔く人のお話を聴く会のドネーションと合わせて)

YAO教育コンサルタント様にお送り致しました。

 

◆参加者の皆さまのお声

・貿易ゲームは初めてで、新たな視点で世界のあり方を考えることができました。

・貿易ゲームを通して伝えること、メッセージは普遍的なものがあるなと再確認しました。伝え方を間違ったり、不足している人も多いと思います。そうならないように広めていきたいです。

・参加者がみんなちゃんとゲームに取り組んでいて、有意義な学び、気づきがあったと思います。

・資源の使い道がわからない国は先進国に搾取されることを感じた。情報格差の上に貧困が生み出される。ゴミやCO2の排出が環境負荷を大きくしていることがゲームでは繁栄されにくい。

・利益をうみだすということはどういうことか?他国の立場を考えた、世界的に豊かな地球人として暮らしていきたい。

・楽しかった。

・個人、組織、国のあり方を見つめ、どのように他者、他組織、他国との関係性を育てていくのが良いのか、広い視野をもって行動していきたいと思いました。

 

 

 

#445 2023429

 

岩﨑裕保と福西真実からあなたへ

 

プロジェクトレポート

415SDGs勉強会

 

「貿易ゲーム」をおこないました。

これは、1970年代にクリスチャン・エイド(英国のNGO)によって開発されたシミュレーション・ゲームで、日本では1995年に神奈川県国際交流協会が日本語版の紹介をしました。今回は、開発教育協会発行の『新・貿易ゲーム[改訂版]』(2006年)をもとにして、世界の貿易を疑似体験しました。この「貿易ゲーム」は、体験をとおして、

        貿易を中心とした世界経済の基本的な仕組みを理解すること

        自由貿易や経済のグローバル化が引き起こす様々な問題に気づくこと

        南北格差や環境問題の解決に向けて、国際協力のあり方や、わたしたち一人ひとりの行動についてかんがえること

をねらいとしています。

もちろん、このゲームは、複雑な現実世界のできごとを単純化・モデル化したもので、世界のあらゆる事象を厳密に再現することはできません。しかし、上記のねらいについて考えるきっかけになります。シミュレーションというゲームの性格として、参加者のとる行動に正解や不正解があるわけではありませんし、コレといった結論が先に在るわけでもありません。参加者一人ひとりがみずから感じ、発見し、考え、議論する参加型の学びを体験することができます――「先進国のエゴが見えた」「これが世界の現実か!」などと実感をすることが学びになります。

 

結論のない自由に発想できる学びですから、紙上で追体験をすることはできませんが、ゲームの基本的な仕組みの紹介をしておきます。

参加者は、いくつかのグループに分かれて、ハサミや鉛筆などの道具と紙を使って「製品」を作り、「マーケット」で売って収入を得ます。ただし、スタートの時点では、渡される道具や紙はグループによって異なります。先進工業国グループにはハサミや定規などの道具(=工業技術)があるのですが、紙(=資源)は少なく、資源国グループには紙はたくさんあるのですが道具はほとんどありません。また道具も紙もないグループもあります。ゲームが進んでいくにしたがって、「格差」が拡大したり、グループ間での道具や紙の取引(貿易)が見られるようになったりします。

 

当日、どんどん儲けて他のグループとはけた違いの富を獲得したのは先進工業国グループ(A)でした。一方最貧国グループ(D)はさまざまな交渉+寡黙な作業によって第2位の富を獲得しました。資源国(C)は生産をしながら交渉や貿易に努めたものの第3位となり、先進工業国と資源国の間に位置するグループ(B)は他との接触などはほとんどしないで、手元にあるもので結構楽しくしていましたが、富の獲得には至りませんでした。

Aを訪れる人たちはいましたが、Aの人たちはソコを離れることなくワイワイとオシャベリをしながら作業を続けていました。Dの一人は交渉に出かけて紙を売ったりCと共同作戦をしてみたりと盛んな動きをしましたが、他のメンバーはDの机から離れたところで作業をすることが多く、Aと違ってほとんど不在状態でした。Cには途中でハサミの援助がありましたが、これが左利き用のハサミで「適正技術」ではありませんでした。Dでは新たな資源(紙)が見つかりましたが、コレを売却して稼いだようでした。Bはいわば鎖国をして周りに惑わされることのない状況下で、富の獲得よりも穏やかな暮らしを大切にしていたようでした。Aはマーケットからブランド品を示すシールをもらい、続いてエコ認定のシールももらい、これがいっそう富を大きくしました。製品をたくさん作って大きな儲けを生み出したAの机の上には、他のグループとは比較にならない量の紙ごみ(廃棄物)が出ましたが、これを処分するようにDと取引をしました。また、同じ製品が多く生産されるとマーケットはその価格を変動させ、そのためにCDはシンドイことになりました。

こうした活動の中で、さまざまな問題――自由貿易、市場価値の変化、移住労働者、国際分業、植民地化、援助、環境問題、グローバル化などなど――に気づいていくことができます。そんなわけで、「貿易ゲーム」は「世界がもし100人の村だったら」と並んで、開発教育の基本的なワークということができます。これまでは(COVIDを気にして)比較的静かなワークを行ってきましたが、今回はけっこう動きがあって言葉を交わすワークができました。なお、福西真実がマーケット役を、岩﨑裕保が全体の進行をしました。

 

付記:「貿易ゲーム」はオリジナルを開発したクリスチャン・エイドからゲームのねらいを変えないことを条件に日本での発行が認められたものです。「貿易ゲーム」は競争社会で勝ち抜いていくための技術を身につけるための教育ツールではなく、公正な社会の可能性について考えるために開発されたものです。その趣旨を十分に理解して、この教材が広く使われ、貿易にまつわるさまざまなことに気づき考える機会となることが求められています。

 

プロフィール:blue earth green trees SDGs勉強会プロジェクトリーダー。同志社大学法学部政治学科卒業、同大学院アメリカ研究科修了。ニュージーランドが関心の地域。私立中高で英語を教え、その後大学に移って「平和研究」「国際協力論」「NGO/NPO論」などを担当。2008年から6年間開発教育協会(DEAR)代表理事。今はDEAR顧問と関西NGO協議会(KNC)監事。

種を蒔く:#385,383,360,354,349,342,319,310,303,292, 266, 259, 254, 237, 224, 197, 175, 143, 124, 121, 98, 79, 73, 69, 67, 48

 

 

【過去のご報告】

 2022年10月22日開催:「第14回SDGs勉強会~沖縄から考える平和」のご報告

2022年10月22日開催:「第13回SDGs勉強会~ファッション・服について考えてみよう」のご報告

2022年10月8日開催:「第12回SDGs勉強会~プラスチックとゴミとリサイクルについて考えてみよう」のご報告

2022年8月13日開催:「第11回SDGs勉強会~国際協力/援助について考えてみようⅡ」のご報告

2022年6月18日開催:「第10回SDGs勉強会~国際協力/援助について考えてみようⅠ」のご報告

2022年4月23日開催:『第9回SDGs勉強会~子どもの権利条約について考える』のご報告

2022年2月26日開催:『第8回SDGs勉強会~豊かな社会にとって大切なこと』のご報告

2021年12月11日開催:『第7回SDGs勉強会~~核(兵器)について』のご報告

2021年10月16日開催:『第6回SDGs勉強会~コンビニについて』のご報告

2021年8月28日開催:『第5回SDGs勉強会~フェアトレードⅡ』のご報告

2021年6月12日開催:第6回種を蒔く人のお話を聴く会/Listening to Seedfolks〜五ふしの草 榊原一憲さん) 』& 『第4回SDGs勉強会(フェアトレード)』のご報告

2021年2月13日開催『第4回種を蒔く人のお話を聴く会/Listening to Seedfolks〜登大路総合法律事務所 所長弁護士田中啓義さん』& 『第3回SDGs勉強会』ご報告

2020年12月26日開催:『第3回種を蒔く人のお話を聴く会/ Listening to Seedfolks 〜国連UNHCR協会芳島昭一さん』&『第2回SDGs勉強会』のご報告

2020年10月17日開催:『第1回種を蒔く人のお話を聴く会 & 第1回SDGs勉強会』のご報告