2月25日開催:『第14回SDGs勉強会~沖縄から考える平和』のご報告

 

ご参加くださった皆さま、ありがとうございます。

 

皆さまのご協力に感謝致します。

 

◆参加人数:16

 

◆ドネーション:22000(19回種を蒔く人のお話を聴く会のドネーションと合わせて)

228日にkokoroふぁーむ縁様にお送り致しました。

 

◆参加者の皆さまのお声

・体験型の学びは身につきます。いつもいろいろな工夫をしていただき、ありがとうございます。

・シミュレーション中にも話したように、ひとつひとつの判断をすることは本当に難しいし、どれが正しいのかもわからない。けれど、実はそれこそが「生きる」ということなんだなあと感じました。「生きる」ことがどれくらい難しいことなのかを考える良い機会となりました。

・沖縄についてしっかり学び考えることができました。ガマのワークはとても勉強になりました。また今まで知らなかったことがデータでも知れ、平和や沖縄、基地についての自分の考えをもつにあたってとても参考になりました。ありがとうございました。

・単なる観光地としてではない知るべき沖縄の大切な部分について学ぶことができて良かったです。

・クイズとワークで沖縄について学び、それぞれの感じることを聴き合えたことで、個人のあり方・地域のあり方・社会のあり方について深く考えることができました。

・人生で自分の選択をしっかりしていく上で、さまざまな体験を重ね、豊かな感性を育てていく必要があると感じました。

・いつもSDGs勉強会での学びは、大切な気づきを与えてくれます。

・沖縄の人々の持ついたみを想いました。いろいろな立場にある人のことを想い、行動していけるようになりたいと思います。

 

 

 

種を蒔く#430 2023311

 

岩﨑裕保からあなたへ

 

癒しの島といわれる沖縄へ旅に行って癒されるということは、沖縄にストレスを捨ててくるということです。年間観光客数は県人口の3倍以上です。その人たちの多くが沖縄にストレスを置いていくと、沖縄はその重みに耐えられなくなってしまうよ(自分のところでストレスは解き放ってよ)、という声が聞こえてきます。

沖縄の米軍基地はベトナム戦争でも、イラク戦争でも、アフガン戦争でも重要な働きをしてきました――米軍機が爆撃のために沖縄から飛び立ったり、米軍人が沖縄から派兵されたりと、沖縄なくしてはこうした戦争は遂行できませんでした。そして“9.11”の後、沖縄へ旅行をする人は激減しました――米軍基地のない沖縄なら、そんなことにはならなかったでしょう。

 

僕もかかわってきた京都の開発教育研究会の出版物である『身近なことから世界と私を考える授業Ⅱ』(明石書店、2012)の第1章は「オキナワ」で、いくつかのアクティビティのひとつに<シミュレーション「あなたの運命は?」を通して「強制集団死」を考える>があります。

この授業案は、研究会のメンバーが修学旅行の事前学習にと考えたものでした。当時、この授業案をチェックしてもらうために沖縄NGOセンターの玉城さんに京都に来てもらい、出版につなげることができました。それから10年、沖縄の教員が関西のグループが沖縄戦のワークを作っていると気づき、これを活用するようになりました。そして、22年6月23日の慰霊の日に、このワークの現場である読谷村で授業が行われました。こうした事業は沖縄平和啓発プロモーション事業( うまんちゅぴーすふるアクション - 平和を願う沖縄のこころ (umanchu-heiwa.com) )として、県子ども生活福祉部女性力・平和推進課が主管し、沖縄NGOセンターが受託者となっています。その事業の一環として、2211月に奈良の忍海小学校と上牧小学校で玉城さんが授業をし、23年1月には京都・修学院にある関西セミナーハウスで、開発教育研究会のメンバーと沖縄NGOセンタースタッフ、県職員、現職教員そして読谷村学芸員が集い、この教材を振り返り、これからの展望を語り合う1泊2日の機会を持ちました。

 

実際に起こったことを追体験するシミュレーションの題材は、沖縄本島中部の読谷村にあるチビチリガマとムシクガマ(ガマとは自然壕のこと)での出来事です。チビチリガマでは住民の「集団死」が起こり、一方のシムクガマではそのような惨事はありませんでした。対照的な運命をたどった2つのガマでどのようなことが起こったのか、ガマに逃げ込む人になって追体験をします。紙上での追体験は難しいので、次の動画をご覧ください。

生と死を分けた二つのガマ(ユンタンザミュージアム提供) - YouTube

 

SDGs勉強会では以下の「うちなークイズ」をおこないました。みなさんもぜひトライして、沖縄について考えたり思いをはせたりしてください。

うちなークイズ

 

・沖縄の面積は日本で何番目に小さいでしょうか?

①2番  ②3番  ③4番                  → ③

     【香川、大阪、東京、沖縄】

 

・沖縄の島は、サンゴ礁に囲まれていますが、サンゴは何でしょうか?

①動物  ②化石  ③植物                  → ①

 

・沖縄の県花は、ハイビスカスである。                  → ×

【デイゴ:インドやマレー半島が原産でオキナワが北限】

 

・沖縄の県鳥は、ヤンバルクイナである。                 → ×

【ノグチゲラ:特別天然記念物でヤンバルにのみ生息するキツツキ】

 

・沖縄黒糖(黒砂糖)の材料は、サトウキビである。            → 〇

 

・沖縄には、白豚より黒豚が多い。                    → ×

【沖縄戦で在来の黒豚アグーが壊滅的になったことを知ったハワイの沖縄移民が550頭ほどの白豚を送った】

 

・シーサーは魔除けである。                       → 〇

 

・沖縄県になる前、沖縄はかつては王国でした。名前は何でしょう?

 沖縄王国  ②琉球王国  ③美ら島(ちゅらしま)王国     → ②

 

・その王国は何年続いたでしょう?

①約250年  ②約350年  ③約450年          → ③

 

・「はいさい、はいたい」の意味は何でしょうか?

①わたしはいます  ②こんにちは  ③元気です         → ②

【はいさいは男性、はいたいは女性が使う】

 

・「まくとぅそーけー、なんくるないさ」の意味は何でしょう?

①あるがままに、物事は進む

②気楽にいくことで、うまくいく

③万事を尽くすと、結果はついてくる                 → ③

【「なんとかなるさ」といった楽観的見通しではなく、「人として正しい行いをしていれば自然とあるべきようになる」「ちゃんと挫けずに正しい道を歩むべく努力すれば、いつかきっと報われて良い日がやってくる」が本意、「やるだけやったんだから、きっと何とかなる」ということ】

 

・「いちゃりばちょーでぇ」の意味は何でしょう?

①一つください

②一度会えば、兄弟

③一か所に集まれ                         → ②

【9月18日は「しまくとぅばの日」(2006年条例化)。しまくとぅば」を直訳すると「島の言葉」で、その意味は、村落、島、故郷。「しまくとぅば」は概ね、6つに分類され、奄美語、国頭語、沖縄語、宮古語、八重山語、与那国語で。「うちなーぐち」は沖縄語のことで、しまくとぅばの1つ】

 

・沖縄は日本で唯一の地上戦があった場所である。             → ×

【硫黄島でも地上戦はあったが、一般住民は巻き込まれなかった】

 

・沖縄戦で多くの人が亡くなりました。どのくらいの人が亡くなったでしょうか?

①2万人  ②20万人  ③200万人            → ②

【59万の県民のうち一般県民(民間人)9.4万人、沖縄出身軍属約3万人、沖縄以外出身兵6.5万人、米軍1.2万人が死亡】

 

・「ひめゆり学徒隊」のひめゆりは「ひめゆり学園」という学校名からつけられた。                              → ×

【花の「ひめゆり」ではなく、沖縄県立第一高等女学校(一高女)の学校広報誌の名前「乙姫」と沖縄師範学校女子部の学校広報誌の

名前「白百合」を併せて「姫百合」という名称となった】

 

・沖縄には日本にある米軍基地の約50%が集中している。         → ×

【日本全体のアメリカ軍専用施設の約70%が集中し、沖縄本島の15%を占めている。1956年の経済白書で「もはや戦後ではない」

とされ、高度 経済成長が始った時期に、本土の米軍基地の整理縮小の流れを受けて、本土から沖縄に海兵隊の移転が進んだ】

 

・米軍基地の名前「キャンプ・シュワブ」「キャンプ・ハンセン」などは、

米兵の名前から付けられた。                      → 〇

 

・沖縄の軍用基地料など基地関連収入は、1965年には県民総所得の30%でした。

今では何%でしょうか?

 ①5%  ②15%  ③25%              → ①

【本土復帰の1972年には15%となり、1990年代以降は今日まで5%前後で推移】

 

・米軍の軍用機は、沖縄で一度も墜落したことがない。           → ×

 1959年6月30日嘉手納から飛び立ったジェット戦闘機がエンジン故障で石川市立宮森小学校の校舎に激突炎上。児童11人を含む17人が死亡、200人以上が負傷、パイロットは無事。2004年8月13日、大型輸送ヘリコプターが沖縄国際大学に墜落炎上、乗員3名は負傷。事故翌日14日の午後に現場を訪れた荒井正吾外務政務官は現場に近づくことも許されなかった。「日本 はイラクではない。日本の領土であり 、米軍が主権を持っているような状況はおかしい」と発言。】

 【「米軍機は、米軍住宅の上では絶対に低空飛行をしない。それはアメリカの国内法がそうした危険な飛行を禁止していて、その規定が海外においても適用されているからだ」「米軍の訓練による被害から守られているのは、人間だけではない。アメリカでは、たとえばコウモリなどの野生生物や、砂漠のなかにある歴史上の遺跡まで、それらに悪影響があると判断されたときには、訓練はできない。計画そのものが中止になる。なぜなら、米軍が訓練をする前には、訓練計画をきちんと公表し、環境への影響評価を行うことが法律で義務づけられているため、アメリカ国内では、人間への悪影響に関して米軍の訓練が議論されることはない」「沖縄本島北部の高江では、ノグチゲラという希少な鳥の繁殖期には、ヘリパッドの建設工事が数ヵ月にわたって中止されている。「日本人」の人権にはまったく配慮しない米軍が、「日本の鳥」の生存権にはちゃんと配慮している」「米軍住宅に住むアメリカ人たちも、環境に配慮した本国の法律によって、海外にいても人権が守られている。アメリカの環境関連法は、自国の動植物や遺跡だけでなく、日本の鳥(希少生物)まで対象としている」「米軍機には、〔最低高度や飛行禁止区域を定めた〕航空法第6章の規定は適用しない、という航空法特例法がある。どんな特例法があろうと、国民の人権が明らかに侵害されていたら、憲法が機能してそれをやめさせなければならないはずだ。ところが現実は憲法が機能していない」「もう一つ特例を挙げると、日本では大気汚染防止法も土壌汚染対策法も水質汚濁防止法も放射性物質はその適用除外となっている」】

 

・日本全体は2010年以降人口が減り続けていますが、沖縄は人口増となっている。

                                    → 〇

     【移住などの社会増ではなくて自然増。若い人が多い】

 

・かつて沖縄は男女とも平均寿命全国1位でしたが、今はそうではありません。特に男性の変化は顕著です。今は何位でしょう。ちなみに女性は16位です。

①25位  ②36位  ③43位               →③

【働き盛りが高血圧関連疾患で多く亡くなる。2000年以降ファストフードが一般化。飲み過ぎや食べ過ぎ、運動不足など生活習慣による死因では男性が肝疾患、女性は肝疾患と糖尿病がいずれも全国1位となっている】

 

・沖縄では、6月23日を、戦争のことを考える日として大切にしています。

なんという名前の日でしょうか?

①終戦記念日  ②慰霊の日  ③お祈りの日           → ②

【帝国陸軍司令官牛島満中将自決した日=軍崩壊。ポツダム宣言受諾は8月14日で、本土では9月2日にミズーリ艦で調印。しかし沖縄では兵士の抵抗で戦は続き、本土とは切り離された9月7日の降伏文書調印まで続いた】

 

勉強会では十分に触れられなかった「遺骨土砂問題」についていくつかの情報を付けておきますので、ぜひご覧になってください。

「遺族の声を掘り起こす」守るものは戦没者の遺骨と尊厳 遺骨土砂問題に立ち向かう男性の思いー | RBC NEWS トップページ | RBC 琉球放送 (1ページ) (tbs.co.jp)

「埋め立てに使うのはもってのほか」遺骨土砂問題で遺族ら国に計画撤回訴える | TBS NEWS DIG (1ページ)

「「ヤマトンチュ」として沖縄「遺骨土砂問題」に向き合う」/「遺骨で基地を作るな!緊急アクション!」呼び掛け人 西尾 慧吾 | 特集/ (gendainoriron.jp)

<西尾さんは高校生の時に、関西NGO協議会が毎年行っている「ワンワールドフェスティバルforユース」に参加し、実行委員を務めました>

「遺骨土砂」227議会が意見書 埋め立て使用に反対(沖縄タイムス) - Yahoo!ニュース

意見書第5/奈良県公式ホームページ (pref.nara.jp)

<県議会全会一致での採択。県としては沖縄県以外では最初の採択>

 

今回の勉強会は準備段階から当日実施まで、JICA奈良デスクの福西真実さんとの協働で行いました。

 

プロフィール:blue earth green trees SDGs勉強会プロジェクトリーダー。同志社大学法学部政治学科卒業、同大学院アメリカ研究科修了。ニュージーランドが関心の地域。私立中高で英語を教え、その後大学に移って「平和研究」「国際協力論」「NGO/NPO論」などを担当。2008年から6年間開発教育協会(DEAR)代表理事。今はDEAR顧問と関西NGO協議会(KNC)監事。

種を蒔く:#416,402,396,372,360,354,349,342,319,310,303,292, 266, 259, 254, 237, 224, 197, 175, 143, 124, 121, 98, 79, 73, 69, 67, 48

 

 

 

【過去のご報告】

2022年10月22日開催:「第13回SDGs勉強会~ファッション・服について考えてみよう」のご報告

2022年10月8日開催:「第12回SDGs勉強会~プラスチックとゴミとリサイクルについて考えてみよう」のご報告

2022年8月13日開催:「第11回SDGs勉強会~国際協力/援助について考えてみようⅡ」のご報告

2022年6月18日開催:「第10回SDGs勉強会~国際協力/援助について考えてみようⅠ」のご報告

2022年4月23日開催:『第9回SDGs勉強会~子どもの権利条約について考える』のご報告

2022年2月26日開催:『第8回SDGs勉強会~豊かな社会にとって大切なこと』のご報告

2021年12月11日開催:『第7回SDGs勉強会~~核(兵器)について』のご報告

2021年10月16日開催:『第6回SDGs勉強会~コンビニについて』のご報告

2021年8月28日開催:『第5回SDGs勉強会~フェアトレードⅡ』のご報告

2021年6月12日開催:第6回種を蒔く人のお話を聴く会/Listening to Seedfolks〜五ふしの草 榊原一憲さん) 』& 『第4回SDGs勉強会(フェアトレード)』のご報告

2021年2月13日開催『第4回種を蒔く人のお話を聴く会/Listening to Seedfolks〜登大路総合法律事務所 所長弁護士田中啓義さん』& 『第3回SDGs勉強会』ご報告

2020年12月26日開催:『第3回種を蒔く人のお話を聴く会/ Listening to Seedfolks 〜国連UNHCR協会芳島昭一さん』&『第2回SDGs勉強会』のご報告

2020年10月17日開催:『第1回種を蒔く人のお話を聴く会 & 第1回SDGs勉強会』のご報告