12月11日開催:『第7回SDGs勉強会~~核(兵器)について』のご報告

1211日、ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。

皆さまのご協力に感謝致します。今回は、RHEPの学生に安心してご参加いただくため、写真撮影は行わずに会を進めました。

 

◆参加人数:15

 

◆ドネーション額:25,610円(第9回種を蒔く人のお話を聴く会のドネーションと合わせて)

・国連UNHCR協会様へ25,610円をお送りいたしました。

 

◆参加者の皆さんのお声

・核にまつわる自国日本、世界のジレンマは簡単に解決することではないかもしれませんが、まず、自分自身が”守り人“の一人としての資格があることを、今日教えて頂いたこと、とても大きな学びでした。ありがとうございました。

・長崎・広島市長のスピーチが良かったです。感動的でした。

・国連の場での緊張したやりとりは見ごたえがありました。国連の場では母語で話すべきという話は共感しました。この前聞いた蓮池透さんの原子力発電での話とともに考えさせられる話でした。

・難しいテーマでしたが、いろいろな角度から考え続け、子どもたち・若者たちが安心して生きていける環境になるように行動していきたいと思います。

・皆さんの声を聞きながら、自分も意識を高めていきたいと思いました。

・日本国内の声だけでなく、世界のさまざまな国の声を知り、広い視野で考え続けていきたいです。

So interesting to know the Common Agenda: such asNo one leave behind,Protect our  planet,Build trust,Listen to work with youth’ …. I think these can be best summarized by promoting peace and ensure justice for all if possible.

 

 

岩崎裕保からあなたへ

 

「第7SDGs勉強会〜核(兵器)について」

〈核兵器による威嚇・使用は国際法に一般的に違反する〉

 199678日、オランダのハーグにある国際司法裁判所で、ある判断が下されました。それは、19941215日の国連総会決議に基づく要請――「核兵器の威嚇と使用は、いかなる状況の下で国際法上許されるのか。国際司法裁判所の勧告的意見を緊急に求める」――に対するものでした。勧告的意見が出される裁判所の様子と、そこに至る流れは、NHKスペシャル「核兵器はこう裁かれた」(199686日)として放映され、そのデータをベースにした『核兵器裁判』が1年後にNHK出版から出されています。

 実は、日本政府は、広島に原爆が落とされた4日後(1945年8月10日)にスイス政府を通してアメリカ政府に「米国が今回使用したる本件爆弾は、その性能の無差別かつ惨虐性において、従来かかる性能を有するがゆえに使用を禁止せられおる毒ガスその他の兵器を遥かに凌駕しおれり」と抗議文を送っています。

 1995117日にハーグで日本政府と広島と長崎の市長の口頭陳述がありました。外務省の河村武和軍備管理・科学審議官は「核兵器は…国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致しない」と述べて、国際法に違反するかどうかについては答えていません。そのうえで「…両市長の発言は、証人としての発言であり、日本政府の立場からは独立したものです。とくに事実の叙述以外の発言があれば、それは必ずしも政府の見解を表明するものではない…」と付け加えました。続いて平岡敬広島市長と伊藤一長長崎市長が陳述をし、二人とも核兵器は国際法に違反すると明言しました。

 19925月にスイス・ジュネーブの国連ヨーロッパ本部で、市民やNGOが中心となって「世界法廷プロジェクト」が発足しました。1980年代半ばにニュージーランドの草の根の市民から始まった動きが多くの支持を得て、世界核法廷を目指す世界的キャンペーンとなりました。国連での熾烈な攻防を経て、総会での議決は賛成78、反対43、棄権38――そのうちの1は日本――で採択され、市民の発想は国際司法裁判所に提訴されました。

 ハーグでの議論も難航し、勧告的意見の結論は賛否同数で、裁判所規定に基づいてベジャウイ裁判長がもう1票(賛成)を投じて、勧告的意見は成立しました。「核兵器による威嚇・使用は武力紛争に関する国際法、とくに国際人道法に一般的に違反する。しかしながら、国際法の現状からみて、国家の存亡がかかる自衛のための極限状況では、核兵器による威嚇・使用が合法か違法かについて判断を下せない。」核兵器の威嚇や使用を禁止する法がない現状でも、国際人道法の観点から、核兵器は違法である、と判断しています。また、国家の存亡がかかる極限状況における自衛の場合ですら合法であると言っていません。そして、判事たちは全員一致で「すべての国家には、核軍縮につながる交渉を誠意をもって行い、完了させる義務がある」との提言で、国際司法裁判所の判断を締めくくっています。

 そしてベジャウイは2015年8月22日の朝日新聞で「広島・長崎と福島。日本人は、核の軍事利用と民生利用の結果がもたらした両方の被害を、世界で唯一経験しました。…この二重の核被害という経験によって、人類に重要なメッセージを送る資格が与えられました。日本人はまさに、人類の『守り人』です」と言っています。

 

プロフィール:blue earth green trees SDGs勉強会プロジェクトリーダー、同志社大学法学部政治学科卒業、同大学院アメリカ研究科修了。ニュージーランドが関心の地域。私立中高で英語を教え、その後大学に移って「平和研究」「国際協力論」「NGO/NPO論」などを担当。2008年から6年間開発教育協会(DEAR)代表理事、今はDEAR監事と関西NGO協議会(KNC)監事。

種を蒔く:#237, 224, 197, 175, 143, 124, 121, 98, 79, 73, 69, 67, 48