◆日時:2026年5月23日(土)13時~15時
◆会場:SHARE HOUSE little treesミーティングルーム
◆参加人数:6人
◆ドネーション額:12,000円(第21回ひとときカフェのドネーションと合わせて)
・12,000円をAMDA社会開発機構シエラレオネ事業にお送りし、子ども病院運営のためにご活用いただきます。
◆参加者のお声
・朗読をすること、聴くことが今までなかったもので、とても貴重な体験でした。それぞれの人生観を追体験でき、非常に濃い時間を過ごさせていただきました。朗読の体験も自分の中で湧き上がるものを感じ、浄化された気がしました。皆さんとともに同じ時間を過ごせたことを心から感謝しています。ありがとうございました。
・今回で、ROUDOKUプロジェクトへの参加は3回目となります。ひとつわかったことは、他者を前にして思い入れのある本を朗読する時、または著者について語る時、涙腺が刺激されるということ。言葉を口に出すという行為(朗読)は、ひとりで声を出さずに読む行為と全然違うものなんだと気づきました。 今回は自分の師匠である方のカウンセリング詩を読ませて頂きましたが、こんな風に師匠を語るのは初めてのような気がします。自分が大事にしている玉手箱を開けたような気分です。過去2回、いや他イベントを数えるともっとになりますが、シェアハウスlittle treesでは、玉手箱を開けても誰かに乱暴に鷲掴みにされるようなことはないと信じられたからだと思います。
・いつもながら、心地の良い空間で、参加者の皆さんから温かい言葉を頂き、自分を知ったり考える有意義な時間でした。
『孤独はいつか終わる』『出会いが孤独を癒す』『言葉が熟すまで待つ』『家族のありがたみ』『戦争の不条理』『自然や自分の好きな場所が健康と正しい判断を促す。そのために自己理解を深める』私が受け取ったメッセージです。
違う本を選んでるけど、何か共通するメッセージがあり、それぞれの解釈をお聞きできるのは、とても貴重な体験でした。素敵な出会いに感謝です。
◆プロジェクトリーダー:岡本幹子
種を蒔く#690 2026年5月31日
岡本 幹子からあなたへ
第14回 ROUDOKUプロジェクトを終えて R8.5.31
既に初夏の暑さを感じる5月23日の午後、‘SHARE HOUSE little trees‘の優しく清々しい空間においてROUDOKUプロジェクトが行われました。参加者は6名。木の丸いテーブルを全員で囲み、心の温かさを感じながらスタートしました。まずはいつも通り呼吸を整え、肩回り、首、肩甲骨を緩めて準備オッケイ。テーブルに置かれたガラスの小瓶には、ティ―トゥリーやホワイトセージなどのハーブがいけられて、気持ちがすっと落ち着きました。
用意した作品を読む時は、皆の前の席に座って距離を取ってみることに…。緊張するかもと思えば、意外と声を出しやすく、聞きやすくてよかったです。
朗読の前後には、今回の作品を選んだ理由や意図などを語っていただきました。思いを発信すること、さらに意見を交わすことで、それぞれの素直な人間性があふれだし、熱いバイブレーションでその場がいっぱいになりました。
ROUDOKU作品について 内なる声を聴きながら
① それでも前へ進む 伊集院 静
仲の良かった弟、最愛の妻を早くに亡くした作者が、悩み、迷い、立ち尽くす・・・孤独と向き合いながらそれでも前へすすむための心の葛藤が語られた一頁。
「孤独だけが自分が何者であるかを教える」
「哀しみというのは一人で経験するべくなっている」
「人は享楽のみでは生きていけない」
「哀しみは薄れていくし、終わりが来る」
「孤独はいずれ失せる。そのきっかけとなるのは出会いしかない」
「出会いは宝石、貴石である」
どのフレーズも聞き逃せない大事なメッセージであると感じた。
別れによる強烈な孤独を経験した作者が、シニア世代となって大事にしていることは、これまでの経験値をもってさらなる仕事に挑戦すること、常に少しの勾配のある道を選んで進むことらしい。同世代に送られた熱くそして優しいエールのように受け止めた。
② しあわせ あいうえお 幸せに生きるための カウンセリング詩 六浦 裕美
作者は、カウンセリングのできる医者をめざし、36才で医科大を卒業。心療内科医としてホリスティック医療、統合医療、健康教育、カウンセラー育成などを行われた。6年前に若くして亡くなられている。
医療では足りないところで困っている人の役に立ちたいとカウンセリング・スペースを開業し、忙しい日々を送りつつも、こんな人生、こんな自分を気に入っているという作者の愛にあふれた詩集。
「や」 やらなかった後悔の方が大きい・・・迷ったとき、私は私に訊いてみる 「やりたいの?やりたくないの?」「するの?しないの?」シンプルな問いが私の羅針盤
「ろ」 ロンリネスを抱きしめて・・・生まれてきたのも死ぬのもひとり でもひとりと孤独とはちがう
たったひとり だからふれあいがありがたい 出会いが懐かしい あなたも私もかけがえがない あなたも私もいとおしい たったひとりをしっかり味わえる自分になえたとき 人とつながりあえる豊かな世界が広がりはじめる・・・
つらいことがあった時、悲しい時、うれしい時、特別な時に会いたい人、近況を伝えたい人がいるのはありがたい。離れていても、この世にいなくても心でつながっている人・・・出会いは大切にしたい。
キャリアカウンセラーの道における師匠であり、対話の一つ一つが忘れられない大事な宝物である。
③ モ モ ミヒャエル エンデ
モモという少女は、ある町で様々な人と交流する。モモが話を聞けば、相手の不安や悩みが解消する。そんな穏やかな日々を脅かすように「灰色の人たち」が忍び寄より、「無駄な時間を節約して時間銀行に貯蓄すれば、将来まとめて戻ってきて長生きできる」とささやき、人々からゆとりや遊びの時間を奪っていく。人々はゆとりなくただ仕事をするだけで疲弊するようになる。モモは灰色の男たちと向き合うことで正体を知り、マイスター・ホラの助けによって人々の盗まれた時間をとりもどしていく。
人間の命、一人一人の時間、そして話を聞くこと、受けとめること、人のつながりの大事さに気づく。
児童文学として有名であるが、働く大人こそ読むと深く考えさせられる物語である。
自分にとってはこれまでの人生でとても大事にしてきた心の本である。
④ 晴れの日の珈琲 雨の日の珈琲 墨書と印刻小品集 藤村 ちゅうら
珈琲店の本棚で出会った一冊の手製ブック。それは印と墨書の小さな作品集。丁寧に淹れてくれた珈琲を五感で味わいながら、ブックの中の言葉に向きあい、自分の心と対話する。
日日いろいろなことがある。日日是好日。かけがえのない毎日。あきらめなければ、いつか共感できる人にめぐりあえる。すべては「いい日にする」という意志といい出会いから生まれ、つながっていく。いい日にすると心は晴天。
何かを作り出すことが好き。作ることに集中する時間が好き。
練習中の篆刻の師匠の美しい一冊。 唯一無二。
⑤ すべての見えない光 アンソニー・ドーア
孤児院で幼い日を過ごし、ナチスドイツの無線技術兵となった少年ヴェルナーとナチスの侵攻から逃れてきた盲目の少女マリー。2人は連合軍の爆撃で破滅的被害を受ける町、フランスのサン・マロで邂逅する。その短い時間をもとに、戦争の悲惨さ、翻弄される人々の苦闘を丁寧に描かれた巨編。
ウクライナ、パレスチナ、イスラエル・・・どんな時も戦争の加害者は国家権力であり、被害者は責任のない一般市民である。戦争こそ最大の不条理である。今日本はどこに向いているのか。国は強くなくても優しい方がよいではないか。政治家は弱い立場の人に思いを馳せよ。軍備増強し、戦争に行くのは誰ですか。憲法は人の暮らしを守り、命を守るものです。
⑥ 杜子春 芥川 龍之介
どこからか現れた老人の言葉によって大金持ちになった若者、杜子春だったが、やがて富にも人間にも愛想をつかし、老人のもとで修業し仙人になろうとする。修行では数々の魔物に打ちのめされ、命も奪い取られる地獄を見るも、「一言も口を利いてはならぬ」という老人の言いつけを守った。閻魔大王は許さず、痩せ馬の姿となった杜子春の父母を打ちのめす。杜子春は戒めも忘れて「おっかさん」と叫ぶ。洛陽の西の門の下、杜子春はぼんやりとたたずんでいた。晴れ晴れとした気持ちで・・・
人の欲望や野心、執着心…それらを超えて、自分の心の中にある大切なものを見失わずにいたい。
良心、純粋さ、自分らしさ、大切な存在、家族、愛する人、好きなこと、何をしたいか、誰といたいか・・・
自分の心の奥底にある気持ちに問いかけてみる・・・深呼吸する・・・対話する・・・安心する・・・その練習を続けているところです。
⑦ すべては森から ~住まいとウェルビーングの新・基準~ 落合 俊也
森林は人にとって特別な環境である。700万年前に、そこで人類が発祥した。太陽のリズムに沿った森の光合成リズムが、ヒトの生活リズムであったのに、様々なエネルギーの登場でヒトの生活リズムは森から外れていき、そのとたんに経済は秩序なく拡大し、環境の破壊が進んでしまった。
今、もう一度原点に立ち返り、暮らしを考え創造する必要があるのではないか。森と深い関係を築いた人物やその活動を知ることで、私たちが森と健康と建築をつなげる発想を自由にふくらませ、新しいインスピレーションが生まれることが期待される。
アーユルヴェーダの考えは建築にも影響を与えていて、自分の体質を把握し、それに合った建物に住むことが健康に過ごすための第一条件ではないか。現代で多くの人が住むためだけに建物を建て、人工的都市を造りあげているが、そのために自然が切り取られ失われている。
健康の本質はリズム・・・自然を破壊することで環境リズムが乱れ、調和が乱れ、ヒトの不調や新しい感染症が生まれている。今私たちにできること・・・各個人が身近な自然に気づき、守り、利用することが、人々の健康、そして世界の環境を守ることにつながるのではないか。森のエネルギーはすごい。それぞれに調和して補い合うことで美しさを保っている。生き方そのものを学ぶ。
参加者の声より
・朗読を通して、自分の大事にしているものをみんなに語ることができてよかった
・それぞれの人生の大事にしてきたことに触れられる貴重な時間だった。
・皆さんの作品一つ一つに魅かれるものがあって、自分では手に取らない本を知ることができた。
・一人一人の内側を知る喜びがある時間だ。「本当にしんどい時には自然が助けてくれる」と言った友
の言葉を思い出した。光や空気、匂い、色、広さ…自然が包み込んでくれる。感謝。
・自分の宝箱を開けても誰も奪わない、同じように宝物として捉えてくれる、安心して語れる場と言ってくれた言葉が胸に染みた。
◆次回は・・・
土曜の午後にこの場所を選び、作品を通して熱く語ってくださった皆様に心より感謝いたします。安心して対話できるこの空間と仲間の存在が、心を満たしてくれるといつも感じます。
自分にとって支えとなる言葉、人、思い出、取組・・・それぞれの大切を尊重し、共感し、相手をみつめていきたい・・・そのような優しい気持ちになる豊かな時間でした。今日も充実~💓
次回は、11月です。またプロジェクト案内をチェックしてご参加くださいね。それではまた!
追伸
今回、東京からエア参加してくださったプロジェクトリーダーの田中先生、ありがとうございました。
お気持ちは皆さまに十分届きました~。次回お会いできることを楽しみにしております。
プロフィール:blue earth green trees ROUDOKUプロジェクトリーダー、元養護教諭、特別支援教育サポーター、blue earth green treesセルフコンパッションを深める呼吸とやさしいタッチ プロジェクトリーダー
種を蒔く:#679,672,663,602,590,582,573,563,560,544,543. 529. 518. 480. 464. 452. 441. 422. 364. 344. 313
2025年11月22日開催:第13回ROUDOKUプロジェクト~多様性を聴き合う&感じるのご報告
ご参加下さった皆さん、ありがとうございました。ご協力に感謝致します。
◆参加者数:6人
◆ドネーション額:12000円(第19回ひとときカフェのドネーションと合わせて)
・12000円を国境なき医師団にお送りし、ガザの人々の支援にご活用いただきます。
◆参加者のお声
・今回も心地よい時間を過ごさせて頂きました。こころの奥から涙がこみ上げて来るのを止められませんでした。内容が濃すぎて、感想を文章にすることが難しく感じます。
絵本「あんなに あんなに」はこころに響いたので、購入して娘にプレゼントしたいと思いました。
「客観性の落とし穴」は似た視点を持つ方がいると知り、嬉しい気持ちになりました。
畠瀬直子さんの文章を耳にして、わかりやすくて筋の通った文章構成にあらためて感嘆しました。そこから東口さんのファシリテーター論を聴けたことも収穫でした。
「曽根崎心中」では昔も今も、恋愛感情が人間の行動の源になることは不変なのかもと思いました。
俵万智さんの短歌の解説をお聴きして、日常で感じる小さな感動やこころの震えを味わうことの大切さを思い出しました。
またROUDOKUプロジェクトに参加したいと思っています。
・お一人おひとりの選んだ本や作品から、それぞれの今が伝わってきました。何を大切にされているのか、誰と一緒に歩んでおられるのか、どこへ向かっておられるのか、心の深いところに響いてきました。
・本や文章を通してより深く皆さまと出会い、また、時間を超えて自分自身とも出会っていく…そんなひとときを過ごさせていただきました。言葉に込めた想いを受け取ってくださる方がそこにいることの温かさとありがたさ、ゆったりと穏やかな時間と空間を共にし聴き合える時間の豊かさを、改めて深く感じました。本当にありがとうございました。
・ROUDOKUプロジェクトとひとときカフェは、穏やかな雰囲気の中で、ゆったりとした時間が流れたやすらぎのひとときでした。
本を通じて一人ひとりの思いをお聞きし、感じたことを伝えあう。
皆さん温かくて時間の経つのを忘れてしまうくらいでした。
ご縁に感謝です。
また機会を得ましたら参加したいと思います。
◆プロジェクトリーダー:岡本幹子、田中啓義
種を蒔く#651 2025年12月14日
岡本幹子からあなたへ
第13回ROUDOKUプロジェクトを終えて 2025.12.7
11月22日(土)。例年より暖かい晩秋、それでも紅葉が深まり、観光客が急増している奈良において、第13回ROUDOKUプロジェクトを行ないました。参加者は6名。
木の丸いテーブル2台をくっつけて、皆さまのお顔を確認しながらすすめました。まずはいつも通り、肩回り、首筋、肩甲骨を呼吸しながらほぐし、緩めたところで準備オッケイ!はじめましての方もおられたので簡単に自己紹介をしました。持参の本などを読む順番決めはジャンケンで!思いの外盛りあがり、今日も豊かな対話がうまれそうだなと感じました。
作品を読む時には、なぜこれを選んだか、理由や意図を語っていただきました。どの作品も興味深く、また意見を交わすうちにさらに自らの思いが深くなるとともに、参加者にも熱いバイブレーションや共感が生まれて、何やら温かいもので全員の胸がいっぱいになりました。今回は、どうやら「本質とは何…」という難解なテーマに沿ったメッセージが集まった時間になったようです。
◆ROUDOKU作品について(皆様の声を交えて)
① 雨音を聴きながら 雨のアンソロジーより 俵 真智のエッセイ
“プールには雨降りながら雨にのみからだは濡れてゆくここちする”
濡れることに変わりはないのに雨水のみに濡れる気がする不思議な感覚をストレートに表した一句。
そういえばそうだなとはっとした。局面によって自分の感じ方が違うことがあることをあらためて実感。
“花を選ぶしばしのあいだきょうの雨を花は喜ぶと店主はいいぬ”
“日照りの雨の傘の内にてこぼしたる涙よなんの役にもたたぬ”
花屋の花に雨が関係あるのか・・・日が照っているのに降る雨のむなしさといったら・・・。主人公の思いをいろいろに想像してみることができる。真実はどこにあるのか…
“自立できざる子の障害をあらためて説かれたる日も米を炊ぎぬ”
事実を知って胸が塞がれるほどにつらい時も、生きるために食事をする人間の生きるリズムに驚きもあり、パワーもあり。ふとした時に心をとめて何気ない感覚を言葉にすると、自分の気持ちが明確になり、暮らしがもっと豊かになるのではないだろうか。またその人にとっての日常的な真実を知ることができるかもしれない。
② ゴッホの手紙
ゴッホが弟テオ、芸術家ベルナールにあてた数々の手紙。作品の構成や色使いなどについての説明、心の葛藤や精神的な苦悩、貧しい生活などが書かれていた。統合失調症もあったであろうゴッホの不器用すぎる生き方に共感し、胸に染みる。ゴッホにとって手紙を書くことは、苦しい心を整理する営みであったのだろう。さらに自分の気持ちを受けとめてほしいという強い願いを感じる。そんな彼の良き理解者であった弟テオの存在は大きく、兄の芸術活動だけでなく人生そのものの支えとなった。そして二人の死後、ゴッホの作品を世に知らしめたのは、テオの妻であったことからも、彼の影響力の強さがわかる。
ゴッホが何かを描く時、純粋さゆえに、その表現の仕方を適切に選べない心のしんどさが、究極の絵画を生んだのではないだろうか。亡くなった後、残されたエネルギーが今も私たちに届けられている。
③ あんなにあんなに ヨシタケシンスケ
子育ては「あんなに…だったのに・・・」の連続。その日々を振り返り、おとなが切なくなる絵本。
人によってはかつて来た道であり、これから行く道である。どの人も共感でき、思いが通じる一冊だ。
「あんなに・・・」という言葉は前向きで肯定的なニュアンスがある。幼い頃は、泣くも笑うも、散らかすも壊すのも一生懸命!生きていることが楽しくて力強い!この気持ちを持ち続けていけるとよいなあと思う。
④ ははがうまれる 宮地尚子(精神科医)
精神科医であり、二人の子供の母親でもある著者が、世の中のお母さん方が抱く不安や悩み、言葉にならない気持ちに寄り添い、温かいエールを届ける一冊。
子育てを振り返ると反省はつきない。その時間は取り戻せないと悩むことも多いが、今できることは何かに気づくことに幸せがあるのではないかとも考える。これからの時間を大切にしたい。子どもには子どもの人生がある。大人が予防的に先回りして助けるよりも、背中を見守り、エールを送る存在でありたい。
かつて子どもが生まれた時、父は生まれたであろうか。しいていえば、大きくなって人生の岐路に立った時にこそ父は生まれたのでないか。思えば子育ての責任を母任せにしてきたかもしれない。母の偉大さを心の中でかみしめた。
⑤ 客観性の落とし穴 村上靖彦
「数値で表してほしい」「エビデンスはあるのか」「それは客観的な考え方か」
現代社会では、数値やデータを判断基準にすることが多いが、人の痛みや不安は一律ではない。数値に支配されている客観性が人間理解を困難にしてはいないか?
例えばがん患者の「痛い」という訴えに対して、検査結果から「痛そうではない」「痛いはずはない」と判断するのは正しいのだろうか。もっと患者と対話し、個別の見立てや手当を考える必要があると思う。医療、教育、心理、福祉…どの場面においても「どうしましょうか」と応じてくれる人の存在が、誰かの支えになる。数字やデータを示すことが信頼性につながるという錯覚。それだけで本質は見えてこない。
出会いを大切にしたい。出会える一人一人を大切にしていきたい。人として一対一の関係を築きながら仕事に向きあう姿勢が素晴らしいと改めて実感する。
⑥ 関西人間関係研究センター紀要第4号より 畠瀬直子先生の言葉について
畠瀬直子先生はカールロジャーズのもとに留学し、長年ロジャーズ理論を研究、実践されてこられた。今年の10月8日に直子先生が入院されたと聞き驚いた。11日に面会し、お話をして回復を祈ったが叶わず、18日にお亡くなりになった。とても率直で自由な印象を受ける方だった。
畠瀬直子先生と初めてゆっくり話したのは北アイルランドのベルファストだった。ベルファストでは長年にわたる宗教対立があり、カトリックとプロテスタント両者の和解にエンカウンターグループ、PCA(パーソンセンタード・アプローチ)でロジャーズらが取り組んだ。
2014年に永眠された畠瀬稔先生と直子先生は研究者としてもパートナーとしても信頼関係を育んでこられた。
ベルファストで牧師としてカウンセラーとして両者の市民と両コミュニティを応援してこられた91歳のマクドナルドさんの「How to love」についての生涯を聴きながら、目を輝かせておられた直子先生の姿が心に残っている。
一人ひとりの潜在力を応援するカウンセリング、自他との出会いとあたたかい関係を促進するエンカウンターグループで自由さや率直さを大切にされた直子先生は、84歳の日々を自分らしく生き、稔先生に会いに駆けていかれたように感じる。
純粋性、自己一致、一人ひとりへの肯定的な関心、受容など、本質を見つめるあり方に心を向けたい。
⑦ 曽根崎心中 徳兵衛おはつ道行 近松門左衛門
今年の大ヒット映画「国宝」の中にも登場した江戸時代の世話物。大坂で実際に起きた遊女と手代の心中事件をもとに描かれた。時代ゆえの厳しい背景もあり、人としての面目を保つため、互いに契りあった深い愛を貫くために「心中」を選ぶしかなかった二人の心の純粋さ、この世と来世をめぐる魂の力強さが、七五調のリズムと古語の美しさをもっていきいきと表現されている。
悲しい結末ではあるが、愛する二人が死をめざすすごさ、美しさが民衆の心をとらえたのだろう。物語が人の感情を揺さぶるために、語り手のリズムや抑揚は大切だ。人生も歌もメロディーやリズムが肝要!
◆次回は・・・
土曜の午後にこの場所を選び、熱く語ってくださった皆様に心より感謝します。安心して対話できるこの空間と仲間の存在に温かいエネルギーと癒しをいただきます。
「本質とは何か・・・」その見極めには、平均値や客観性よりも、個別の愛ある対応にこそヒントがあるのではないか…遠回りでも複雑であっても、一人一人の言葉に寄り添う仕事、暮らし、子育て、仲間との付き合いをしていきたい…そのような気持ちになる時間でした。充実~💓
次回は5月です。ぜひプロジェクト案内をチェックしてご参加くださいね。それではまた!✋
プロフィール:blue earth green trees ROUDOKUプロジェクトリーダー、元養護教諭、特別支援教育サポーター、blue earth green treesセルフコンパッションを深める呼吸とやさしいタッチ プロジェクトリーダー
種を蒔く:#612,602,590,582,573,563,560,544,543. 529. 518. 480. 464. 452. 441. 422. 364. 344. 313
2025年5月24日開催:第12回ROUDOKUプロジェクト~多様性を聴き合う&感じるのご報告
ご参加下さった皆さん、ありがとうございました。ご協力に感謝致します。
◆参加人数:8人
◆ドネーション額:15,000円(第17回ひとときカフェのドネーションと合わせて)
・5月26日に国境なき医師団にお送りし、ガザの支援のためにご活用いただきます。
◆参加者のお声
・用意されたものでもないのに、ビックリするくらい共通のテーマがあった。
そして楽しかった。
本を語ることで自分を語っていた。
自分が朗読し語っている間、うなづいたり真剣な眼差しを感じていた。
それだけでひとつのカタルシスがあった。
他者の物語を聴かせて頂きながら、いろんな情景が目に浮かんだ。
その方の想いが声に乗って届いて来た。
もっと語り合いたいと思った。
そんな気持ちのまま「ひとときカフェ」になだれ込んだ。
・皆さんの選ばれた本から得たキーワードは、不思議と共通したテーマを感じました。お話を聞きながら、自分の中で忘れていたことを思い出し、考えることができました。また新しい言葉や考え方を知りました。
なぜ、この本を選んだのか?どう読み解いたのか?何を感じたのか?それぞれの想いをお聞きできるのも本で言うと作者の意図を知る感じで楽しいです。改めて本は素晴らしいなぁと思いました。
・昼下がり、古民家のオープンスペースで読みたい本を読んで、聴き合う会はとても和やかで居心地のいい時間でした。 持ち寄った本はそれぞれ違っても、共通の思いがたくさんあって驚きました! 共感し合える仲間や時間はいかに大切かと実感していました。
◆プロジェクトリーダー:岡本幹子、田中啓義
種を蒔く#612 2025年5月31日
岡本幹子からあなたへ
プロジェクトレポート・種を蒔く 「第12回ROUDOKUプロジェクトを終えて」 2025.5.24
五月雨の音が静けさを感じさせる土曜の午後、第12回ROUDOKUプロジェクトが行われました。参加者は8名。丸い木のテーブルを4人ずつで囲み、穏やかで清々しい空気感の中でスタートしました。まずはいつものように肩回り、首周りをほぐし、呼吸を整えて準備オッケイ。お久しぶりの集まりなので、自己紹介では最近の推しをお話しいただきました。スポーツジム通い再開、ポッドキャスト、北極圏に行きたい、ご当地おいしいもの、花を知る、初孫待ちなど…それぞれの生活感を垣間見て、一気に距離が近くなりました。今日もいい対話が生まれそうという直感!早速、用意された九つの作品の一部を読み、選択した理由や思いなどを語っていただくことにしました。今回も興味深い内容が揃いましたよ。面白いことに「調和、平穏、幸せを導くのは何なのか…」という共通したメッセージがありました。
◆ROUDOKU作品について◆
①「太陽」 森 絵都作
突然に彼女を襲った奥歯の激痛…コロナ禍にもかかわらず、すぐに診てくれた風間歯科医院の院長から「奥歯に異常はなく、痛みは心の痛み、代替ペインの犯人を二人三脚で捜しましょう」と言われる。思いつく候補はことごとくはずれ、ある日ふと目がとまった黄色の割れたお皿。いつも太陽のように心を温めてくれる、大好きで大切な豆皿を割ってしまった悲しみを意識の外に締め出していたことに気付いた瞬間、肩の力が抜けて、痛みが少し和らいだのだ。
何かに追い詰められている時、悩みや悲しみがある時、体のどこかが痛くなることは現実的によくある。どの方も体験したことがあるのではないか。そんな時、あえて苦しみの本質に向きあうこと、そのうえで誰かに話をして手放してみること、一緒に考えてもらうことが痛み緩和のすぐれた治療方法ではないか。
作者は語る。「すべてのものは失われる。だから自分に言いきかせる。過去に執着しない。変化を肯う。細胞の新陳代謝を阻害しない。不確かな世界と折あうための柔軟性を確保する」
私たちの心は、あふれる情報に大きく揺れがちである。だからこそ自分の内なる心に気付き、柔軟に、しなやかに生きる練習を続けていきたい。自己の静寂こそが平和へのスタートラインのだろう。
②「ネガティブ・ケイパビリティ ‐答えの出ない事態に耐える力‐」 帚木蓬生作
ケイパビリティ(capability)…耳慣れない響きであるが、一般的には「能力」「才能」といった意味らしい。
さらに「ネガテイブ・ケイパビリティ」とは、不確実な状況や答えのない問題に直面した際に、すぐに結論を出そうとせずに、その状態を受け入れる力をさすらしい。これまでの教育は、的確で素早い処理能力(ポジティブ・ケイパビリティ)を身につけることを求めてきた。しかしこの複雑に変化し、先行きの予測が難しい世の中では、問題解決が困難な答えのない事態やどうしようもないちゅうぶらりの状況は多々あり、そこを耐え抜く力、踏ん張る力が実は必要なのだ。直面する困難な事態を冷静に受け止め、落ち着いて分析したり、互いに理解しあい解決策を探ったりすると、新しい何かに気付くかも…。
精神科医でもある作者が恩師から学んだこと。「精神科医にとって一番大切なことは、親切である。親切は共感の入り口である。不寛容、思いやりのなさが争いを招くのだ」
今、子どものいじめ、自殺、カンニングなどの不正行為、犯罪などの問題が多発し深刻化している。それは何故か。子どもたちが求めているものは何なのだろう。自分を思ってくれていると感じる確かな言葉、ふれあい…まさしく大人から受ける愛情や思いやりなのではないか。
「You are kind!」そう声をかけられる生き方をしたい…
③氷の轍 桜木紫乃作
複雑な人間関係が絡み合った推理小説であるこの作品から、人の生き方について考えさせられた。
80才の滝川老人は釧路でタクシーの運転手をしている。既にからだは病に侵されており、生涯独身でつつましく人生の終わりを迎えようとしていた。若い頃は、青森のストリップ小屋で働いていた。小屋のオーナーで踊り子のさわこに恋をし、彼女の二人の娘の面倒も献身的にみていた。しかし小屋は潰れ、娘たちは人買いにさらわれていく。ある日、老人は古本屋でさわこにあげた詩集(北原白秋)を見つけ、貧しくても心豊かだった昔のことを思い出し、何とかして母と娘たちを探しだして心を繋ごう、関係を修復しようと決心する。そして苦労の結果みつけた姉娘と言い争い、誤って老人は岸壁から落ちてしまう。娘はその日から加害者となり、新たな苦しみを背負うことになる。
滝川老人は自分の善意、さらに沸き起こった人恋しさから命がけで行動したが、思いもよらず、大切に思う娘を犯罪者にしてしまった。人と人の関係は難しい。双方が善意であっても完全に理解しがたい。人とつながるところには葛藤がある。ならば一人の方がいいのか。否、他者がいてこその豊かさではないか、人生に愛があふれるのではないか。人生は一人でも二人でも同じではなく、一人よりも二人の方が必ず豊かだろう。
シンジツ一人ハ堪ヘガタシ。
二人デ居タレドマダ淋シ、
一人ニナッタラナホ淋シ、
シンジツ二人ハ遣瀬ナシ、
シンジツ一人は堪へガタシ。
(北原白秋「他と我」より)
④BANKSY(パンフレット)
世の中は日々不穏、争いごとも多く、戦争はいまだになくならない。
バンクシーはストリートで活動するグラフィックアーテイスト。
一つ一つのアートワークにこめられたメッセージが心に響く。
その中の一枚を紹介しよう。「Love is in the Air」
街頭で抗議のため火炎瓶を投げようとしている男、一見暴徒に見える。しかし手にしているものは花束である。
この絵からどんなメッセージが読み取れるだろう。「火炎瓶(暴力)ではなく、花束(愛)をもって戦おう」「暴力で平和を得ることはできない…」反戦平和、暴力反対の力強い言葉なのか。嫌な言葉やいじめではなく愛ある対話をという発信か。
⑤天然生活より エッセイ「愛について」 小川 糸作
北海道で自給自足の生活をおくる男性。鳥にあげる餌さえも自分で作る。
植物は緑の友。なかでも「ゆりね」とともに暮らす。花と出会う喜び、愛を感じる生活。
自分の中に生まれる愛を内にひそめておくばかりでなく、今こそ外に発信したい。
自分だけの幸せは楽しくない。
動植物からいただいた愛のパワーを自分自身で何かに変換して他に与えていく。
美しい光合成が美しい呼吸となる。
愛は循環する。
受け取ったり、与えたり、地球をめぐっている。
自分の庭で育った花や野菜を誰かに…愛を与える実践を続けていく過ごし方に共感する。
⑥「唯識の思想」 横山紘一作
ポッドキャストで「古典ラジオ」を聞くのが趣味。3人で歴史についてしゃべる番組がお気に入りだ。その中で最澄と空海編があり、とてもひきつけられた。自己を確立するということにフォーカスする。朝目覚めた時、今日は何をする日であったかではなく、自分は何であったかと考えてみよう。今自分がここにいること、生きているということの不思議について想像してみよう。感情や思い、言葉は心の奥から表面化するもの。心を観察、分析し、そのあり様を説き明かす唯識とは何か。古くて新しい思想の世界がおもしろい。
⑦ヨーロッパの装飾と文様 海野 弘作
文様のパターンは、国や言葉の違いを超えて共通組織を生み、意思疎通ができる。世界各地でバラバラに生まれた文様や装飾は、流通によってやがて出会い、混ざり合い、新たな文化となって人々をつなげていく。世界を旅する大いなるロマンを感じる。見ているだけでひきつけられる。
⑧ジョン・レノン PLAYBOYインタビュー
ジョン・レノンが亡くなる1週間前に、雑誌プレイボーイの行ったインタビューの特集。10代の頃に心に響いたビートルズのナンバー。今も世代を超えて聞き継がれる彼らの音楽には、メンバーの若さゆえの葛藤と社会へのメッセージ、平和と愛の精神が詰まっている。特にジョンVSポール、2つの才能のぶつかり合いから生まれた数々のヒット曲。曖昧のない人間関係、あくまでも自分にこだわり続ける音楽観が、無二の詩とメロディを作りだしたのだろう。
自分の弱さやドロドロしたところもさらけ出している言葉に、レノンのリアルを感じて引き込まれる一冊だ。
◇「All My loving」これは残念なことにポールの曲だ。くやしいけどよい曲だね
◇10代の頃、親を尊敬したことはなかった。好きだけどね。愛はあったが支配的だった。そんな大人にはなりたくないと思ったよ
⑨「動的平衡」 福岡伸一作
「全ての物は壊れながら、壊しながら再生していく」今、注目される思考で、大阪・関西万博に「いのち動的平衡館」が設置されることになった。昔からこの考え方が好きで読み続けている。
1月に夫に腎臓を移植した。私の体が健康で、夫の細胞と適合したことが幸いだった。夫の体の中で自分の臓器が循環し、より良い形で再生している。互いに健康な心身を築くための新たな日々。この経験から「動的平衡」の可能性をあらためて考えているところである。
秩序は何もしなければ乱雑の方向に流れがちである。生命にとってのエントロピーは加齢による老化、老廃物がもたらす酸化など…。この流れをできるだけゆるゆると、やんわりにしたい。
生命は退廃しない。細やかに変化し続けている。注目すべきは、作ることより壊すこと。健康を保持し、加齢を緩めるために、不必要なものを手放しながら新たな気づきにつながっていく。変化しながら平常を保つ可能性を信じていきたい。
◆参加者の声より◆
・キーワードは思いやり…今後の人生の方向性を左右する心の持ち方ではないかと思った。
・他者の存在は重要。人と人の関係でも、細胞レベルでさえも助け合いの力をもっているではないか。
・人のつながり、愛、思いやり…大事な言葉だ。
・日々の生活の中でも対話を求め、よりよくすごしたい。
・自己と他者、バランスをとるためには相手が必要。一人ではできないな。
・人との出会い、そこに生まれる対話がうれしい。世界のこと、健康のことを語り、共感できる大切な時間。
今回もこの場を選び、好きな本、作品をもって集まってくださった皆様に心より感謝します。
雨の音を聞きながら、愛が循環する時間となりました。皆さまの心のこもった言葉に癒され、元気をいただきました。本当にすてき!
次回は11月です。ぜひプロジェクト案内をチェックしてご参加くださいね。それではまた!
プロフィール:blue earth green trees ROUDOKUプロジェクトリーダー、元養護教諭、特別支援教育サポーター、blue earth green treesセルフコンパッションを深める呼吸とやさしいタッチ プロジェクトリーダー
種を蒔く:#602,590,582,573,563,560,544,543. 529. 518. 480. 464. 452. 441. 422. 364. 344. 313
2024年11月16日開催:第11回ROUDOKUプロジェクト~多様性を聴き合う&感じるのご報告
◆参加人数:5人
◆ドネーション額:10,000円(第15回ひとときカフェ・ドネーションと合わせて)
•11月18日にテラ・ルネサンス様にお送り致しました。元子ども兵の社会復帰のためにご活用いただきます。
◆参加者のお声
・家族、芸術、命、健康、病気、死などのテーマの本や作品について一人ひとりのROUDOKUを聴き合いました。古文での源氏物語も素敵でした。それぞれが本や作品を選択した理由をお聴きし、お互いへの理解が深まりました。
・今日も楽しく有意義に過ごせました。なかなか出会えない人たちと繋がりあえること、感謝です。
今日の日を大切にしたいです。一歩一歩、少しづつ足元を見ながら進んでいきたいです。
・出会った作品について誰かと聴き合うことで、作品から与えられたものを超え、より豊かに心動かされる世界が広がることを実感し、嬉しい驚きでした。「もしも遠くに行けなくても、もしも長く生き続けられなくても、深く生きることはできる」とのお言葉がとても深く心に響きました。未来に向けての勇気や元気が湧いてくる新鮮な視点をいただけた気持ちです。皆さんが選ばれた作品と、それにまつわる大切な物語をたくさん聴かせていただくことができ、心耕される貴重な時間となりました。本当にありがとうございました。
◆プロジェクトリーダー:岡本幹子
2023年11月11日開催:『第9回ROUDOKUプロジェクト~多様性を聴き合う&感じる』のご報告
■第1回~10回ROUDOKUプロジェクト~多様性を聴き合う&感じるのご報告はこちら





